Episode 1 “The Shirt”
LightBulb Producer の岡田直樹です。
Episode Seriesでは制作の裏側を伝えていこうと思います。
私は拘りを元にLightBulbを立ち上げました。
そんな中で何故シャツだったのか、制作にあたり何を思ったかを綴っていきます。
私自身は「物」それがフィジカルな物であってもデジタルな物でも機能性や見た目感に並外れて拘ります。ほどんどの場合で妥協を許しません。
それはシャツ、シンプルな黒のシャツを探す際にも発揮されました。
「使わない胸ポケットなんて要らない」
「柄やマークはいらない」
「要らない場所にボタンが付いている」
「生地が安っぽい」
「比翼仕立てがいい」
普遍性や拘りを求めれば追求するほど状況は更に難しくなっていました。
ノームコアがジャンルを確立した近年でさえ私の求める完璧なシャツを作るブランドはありませんでした。
結果として私の理想とするシャツは見つかる事が無く、探し始めてから2年が経っていました。
そんな事を背景にブランドの立ち上げそしてシャツの制作を決意しました。
主観的には自分の欲しい物を引っ下げてのブランド立ち上げ。
それでは少し物足りなさを感じ客観性を加えた時に意味のあるブランドでなければならないとも思いました。
それはノームコアブランドだからこそ「拘りある消費を掲げる事」でもあり「遅い消費」を進めていく事でもありました。
今回のシャツ制作にあたり気を付けた事があります。
それは「自分が着たいと自信を持って言えるシャツ」にする事。
同じ服を着続ける事を苦としない自分が真に着たいと思えない限りはブランドプロデューサー失格であるという念を持って取り組みました。今後も需要や利益をベースに洋服制作に取り組むという行動を取らないでしょう。
具体的に拘った点は多くあります。
・比翼仕立てである事
シャツを一枚で着る際の見栄えは重要だと個人的に考えています。ボタンをつける事は生地の連続の中に特異点を作る事と同義であると考えた上で上着を着る際など極力シーンを選ばないようにする為にも比翼仕立てにしました。
・シンプルさの追求、疑う事
胸ポケット・袖口のボタンを無くしました。シャツとしては珍しいデザインだと思います。
ボタンが特異点であるという発想と同じく実用性のない、つまりは使わないパーツを排除しました。袖口のボタンが無い分、袖口の広さの塩梅を見定め、袖を折る事による袖丈の調整を可能にしました。(折っても綺麗な裏側)
付いていて当たり前だと思うものを改めて考えてみる。その中に恒常性や普遍性を見出そうとしました。
・痛めない事・生地
シャツとインナーシャツには肌触りと光沢感に長けたテンセルを使用。漆黒という言葉を彷彿とさせる様な発色であり生地にも厚さがあります。
しかしテンセル、更に黒いシャツの敵は洗濯です。
なので洗濯よる劣化とシワを極力避けようと尽くしました。肌との接触がある首元と袖口のみを洗う事だけに止めようと各所には硬めの芯地を採用し手洗いを推奨する事にしました。手間は掛かりますが発色の良い黒を保つ為の必須事項です。
・インナーシャツ
シャツとインナーシャツの首元の開きを揃える事によりフォーマルからカジュアルまでを表現する事を実現しました。ここでも比翼仕立てである事が良さを際立てます。
上でも書いた様に肌との接触を避けるという観点からもインナーシャツとも着用は合理的であり基本的にはインナーシャツのみの洗濯とシャツの部分的な手洗いによってシャツを大切に着て頂きたいというブランドからのメッセージでもあります。
Shirt
18,900円(税込)
綿70% テンセル25% ポリウレタン5%
Inner Shirt
6,900円(税込)
テンセル70% キュプラ30%
最高のシャツ体験を。
制作の裏側を伝えるEpisode Series
LightBulb
Producer:Naoki Okada
Vice Producer:Kosuke Yamato
Designer:Yojiro Kake
ブランドの規模によって出来る事は異なってくると思いますが、LightBulb程の規模であれば一点一点の制作秘話を伝える事も出来そうなので思い切った取り組みではありますが制作秘話のシリーズを始める事にしました。