LightBulb Producer の岡田直樹です。
*本記事は2019年9月30日のInstaLiveでの議論をベースに構成されています。
Live内では言い切れなかった事も多く含んでいます。ここに連ねる感想や意見は完全に私個人の見解ですので当ブランドに関わる他の方々の意見ではありません。
また本記事は「フェイクニュース問題」「ポストトゥルース時代」
LightBulbの掲げる「早すぎる消費」との関わりが深い記事になりますので、これらのトピックへの知識が薄い方々は知識を蓄えてから読んで頂ければ幸いです。
形がどうあれ昨今は、一個人がアパレルブランドを立ち上げる事が容易になっています。
実店舗が中心のスタイルからAmazonを中心としたオンラインショッピングへのスタイル変化の流れ。SNSの台頭により個人での発信が可能になった事が大きな要因です。
言語でコミュニケーションを行なうTwitter、写真や動画を介してコミュニケーションを行なうInstagramはこの個人での発信の主翼を担っているプラットフォームです。
更にはデザインを請け負うOEM・ODM会社の存在もこの流れを後押しします。
昨今ではインフルエンサーのブランド立ち上げを支援する会社まで存在します。
そんな中でLightBulbは実費運営、オーガニックデザインに拘りを持っています。
それはクリエーションという作業を無下にしない為です。
この理由については後ほど述べたいと思います。
そんなアパレルブランドを誰もが立ち上げられる時代に浮上してきたのは、
インフルエンサーブランドによるデザインのパクリ疑惑問題です。
少し横道に逸れると、常に「ハイブランドと民族衣装」「ハイブランドとファストファッションブランド」「時代を超えてのデザインコピー」等のコピーやトレースを巡る論争は存在し、それらは「デザインの均一化問題」として扱われたりもします。
しかし、この度取り上がったインフルエンサーブランドによるパクリ疑惑は事前から予測可能であって、私はこの問題の浮上を危惧しておりました。更にこの問題はLightBulbとして危惧する「簡単は消費」や、社会的な「ポストトゥルース」の時代感ともよく結び付いているからこそ取り上げる事にしました。
現在、ブランドを立ち上げているインフルエンサーは大体の場合においてファッション系インフルエンサーとして分類されます。そんな彼ら・彼女らがどの様にしてSNS上で成したかと言われれば、大半の場合において自分が身に纏っている服とその世界観が周りから評価されたが故にです。
その行為自体を否定する訳ではありませんが、それは完全なる2次創作です。
アパレルブランドや電子機器メーカーから出されたプロダクトを手に取り、一個人が「良い」といった評価を下している。それに共感を感じ支持する・信頼する。個人の発信が容易になった事で一個人の声が多くに届きやすくなった恩恵と言っても良いでしょう。
ただそのインフルエンサーの応援者も、そのインフルエンサーのクリエーションがどの程度のものか判断しかねています。なぜならその応援者も沢山のインフルエンサーの情報を追いかけている為、そのインフルエンサーのバックグランドをキャッチしきれていない、もしくは情報弱者であるが故にインフルエンサーが良いと言ったモノは迷わず自分も良いという判断を下してよいものだと勘違いしているからです。
一方でインフルエンサーに100%の非があるかと聞かれれば難しくもあります。
前述した様に今ではインフルエンサーのブランド立ち上げを資金的に支援する会社等までも存在します。各ブランドホームページの運営会社の欄をご覧いただければお分かり頂けると思います。
ここからは私の推測も入ってまいりますが「企業が入るという事は企業にも人件費や事務所代等の継続的な支出がある訳ですから継続的な利益追求が求められるという事」でもあります。元々は2次創作に優れ、1次創作とは遠かったインフルエンサーが立て続けに1次創作・利益追求を求められる訳です。
そうなると行き詰まった先に何に頼るかは言うまでも無いと思います。
たとえインフルエンサーという主語を抜きにしても1次創作に慣れていない個人が1次創作を続ける事は難しいと思います。だからこそインフルエンサーのブランドは短期的なファングッズ的な方向に偏る未来を辿ると思っています。「人」から買うという事は、その「人」への関心がその服への愛にも直結するからです。だからこそ私は多くの私情を明かし過ぎずブランド運営を続けています。それはブランドとして・プロダクト単体として正当な評価を受ける為でもあります。
おそらくインフルエンサーは「企業へのポイント的なデザイン提供」や「属人的ではない実費での長い目線を持ったアパレルブランド運営」に適している様な気が個人的にはしています。
しかしLightBulbは元々、1次創作に慣れていない私が立ち上げたブランドであり元より制作の限界が早く訪れるだろうと思ってました。だからこそ掛洋二郎をデザイナーとして迎え入れ、店舗を持たない自費運営を続けています。
それは利益を追求するが為に必要以上の服を作る事を避ける為、創作の幅を広げる為でもあります。
そもそも私の服の制作へのインスピレーションは、プロダクトデザイナーや経営者やアーティストですので、LightBulbの制作がパクリ問題へ行き着く事は無いと思います。物事から不要な要素を無くした制作が私の基本スタイルですので、例えばユニクロをはじめとするノームコアブランドとのパクリが指摘されたとしても現在起こっている「インフルエンサーブランドと他ブランドの類似」とは全く異なるものです。
もちろん誰がどこのブランドから服を買うかは個人の自由です。
しかし、情報への接続性や基礎知識が低いが故に不健康な消費に巻き込まれる人が生まれてしまうのは一つのアパレルブランド Producerの立場からも悲しく思います。
正に政治やニュースを含め、今の時代の流れを悪い意味で表徴してしまっていると思います。
今の時代の流れなどの辺りについては、今後立ち上げ予定のLightBulbコミュニティの中でも厚く議論していき少しでも若者の消費を良い方法へ向けられたら良いと思っています。
繰り返しになりますが本記事は私個人としての意見ですので、反論や異論が多数存在しても自然だと思います。あくまで個人の意見として、この記事を機会に皆様個人がアパレルブランドとの付き合い方を考えて頂ければと思っております。
LightBulb Producer
岡田 直樹
私自身も一人の消費者としてのリテラシーを高め、正しい情報を得るようにする必要があると思います。